養液栽培

情報の泉Vol.008

養液栽培入門② 養液管理の基礎知識

「養液管理」の3つのキーワード

土耕栽培で土作りが必要となるように、養液栽培を行っていく上で土耕栽培とは違った注意が必要となります。「養液管理」です。養液とは、水に肥料を溶かしたいわゆる「液肥」ですが、養液の管理には、3つのキーワードが必要となります。それが、「水」「空気」「養分」です。

水の管理

養液栽培に使用する水を原水といいます。原水のpH(酸性度)や含まれる成分により、養液栽培にふさわしい水かどうかを判断します。原水として使われる水は、主に地下水、水道水、農業用水ですが、どの水を使用するにせよ、所定の基準を満たしているかどうかを確認する必要があります。雨水や河川水が使われることもありますが、雨水は量の確保が難しく、pHが変動しやすいため、河川水は季節変動が非常に大きいため、お薦め出来ません。
原水には、様々な含有成分を含んでいます。栽培を始めるに当たっては、必ず原水分析を行わなければなりません。原水の含有成分が多いと、肥料のバランスが崩れてしまうため、あらかじめ計算してそれぞれの原水に合った肥料処方の設計を行います。こういった原水分析、肥料処方の設計サービスは、栽培システム導入者様に弊社より提供させていただいております。

空気の管理

植物の根は、水や養分だけでなく酸素が必要となります。酸素がないと、いわゆる「根腐れ」の状態になり、根が死んでしまうのです。「ロックファーム」、「ココベリーファーム」は、優れた空気の相を持つヤシ殻培地を使用、ベッド構造で排水性を良くして根に酸素を供給します。
培地のない養液のみの栽培方法、「EK式ハイドロポニック」「スプレーポニック」では、根が養液に漬かっている栽培方法ですので、溶存酸素と呼ばれる水に溶け込んでいる酸素の量を増やすことで根に酸素を供給します。

養分の管理

植物に必要な肥料を必要に応じて与える管理をすることが重要です。そのためには、肥料濃度の目安となる電気伝導度「EC」の管理と、それぞれの作物の必要に応じた肥料成分バランスで栽培することが大切です。栄養成長と生殖成長のバランスを保つ果菜類などの作物と、栄養成長主体で栽培していく葉菜類などの作物とでEC管理や肥料成分バランスは異なってきます。
養液栽培で使う肥料は、養液栽培用に肥料設計された高純度複合肥料のファームエースを主に使って栽培します。ファームエースは、硝酸態窒素、アンモニア態窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄等の植物の生育に必要な肥料成分を全て含んでいます。
「養液栽培」の名が表している通り、養液は養液栽培の核となる物ですが、栽培システムを導入しても、養液の管理を間違えば台無しです。カネコ種苗では、自動で制御管理する栽培システムの提供と同時に、原水の分析、肥料処方の設計から栽培中の養液管理まで、詳しいマニュアルと万全のサポートで生産者の栽培をアシストしてゆきます。